「なんじゃこれは!」
一口食べた途端、松田優作のように叫んだ。
小さな小さなコロッケをかじって、一同みな叫ぶ。
断面を見れば、茶色いペシャメルが、香ばしい香りを立ち上げている。
これは小さな爆弾である。濃縮したうま味だけが詰まった爆弾である。
なんというアミノ酸量だろう。
うま味が次々と津波のごとく襲ってくる。
これは、干し松茸を牛乳で戻し、その牛乳でベシャメルソース作り、戻した松茸と、松茸をソテーしてさらに加えたコロッケである。
こんな恐ろしい爆弾を考えながら、「一道」の関シェフは、爽やかな笑顔で飄々としているのであった。