黒石焼きそばの源流。

食べ歩き ,

「小をひとつちょうだい」。

学校帰りの小学生が、百円玉握りしめて食べに来たのだろうか。

そんな光景が目に浮かぶ

浪岡の「兼平やきそば店」には、そんな気軽さと温かみがある。

できますのは、やきそばの小200円、中300円、大500円、特大700円のみと、実に潔い。

注文すると、麺を水洗いしてから、中華鍋に入れ、途中でカゴメソースを入れつつ、菜箸で炒めること2分、皿に盛り、具をのせて完成である・

具は、炒めた豚肉と白菜に紅ショウガと、これまた潔い。

聞くところによると、50年前に創業したおばあちゃんの時代には、麺だけで、具は一切なかったというから、ずいぶんと豪勢になった。

中太やや平打ち麺は、つるんと唇を滑り抜けながら、もちっ、しこっと、歯の間で存在感を示す。

だから途中でソースを“おいがけ”してもソースに負けない。

素朴なようで主張のある麵が癖になる。

それが長年やられている秘訣なのかな。

今は様々なソース焼きそばがあるが、ここが黒石焼きそばの源流だという。