沖縄にも変態 正しき精神のありよう

食べ歩き ,

沖縄にも、大好きな変態がいた。
宮古島紺碧ヴィラオールスィート「Etat d’esprit(エタデスプリ)」の渡真利泰洋シェフである。
夏は野菜がほとんどなく、魚は締まりなく脂がのっておらず、肉類も少ない。
しかも台風が頻繁に襲うために、食材が枯渇する時もある。
この地で、この地の食材だけを使い、フランス料理を作ることは、いかに難しいことなのか、安易に想像できよう。
しかし渡真利シェフは、その困難を試練として、喜んでいるようだった。
フランス料理とは、元々夏は乾燥し、冬は湿気があり、どちらかというと寒冷な地で育まれたものである。
食材を一旦分解して、それぞれに最適な調理を行い、再び集結させる。
そこに油脂と塩分の魅力を巧みに駆使し、食べると直ちにワインが飲みたくなり、同席する女性を美しくする色気がある料理である。
それゆえに、北海道では似合っても、沖縄でフランス料理を食べるというと、なぜかイメージできない部分があった。
しかし渡真利シェフの料理をいただいて、心が撃たれた。
沖縄の食材を使うだけでなく、沖縄や宮古の伝統文化や郷土料理を土台にして、なんともエレガントで驚きに満ちた料理が生みだしているのである。
どんな地でも、色気あるフランス料理はできる。
要は、店名にも込められた、正しき精神のありようなのである。
「エタデスブリ」の詳細は