<駅弁勝負第57回>
久々の弁当勝負である。
隣に座られたのは、推定50歳の男性であった。
まず上島珈琲カフェオレを取り出して、ドリンクホルダーに入れる。
次に取り出したのは、「メルヘン」の紙袋であった。
サンドイッチを取り出すと、気持ちがはやっているのか、なかなかビニールが破れない。
「落ち着いて」。心で声かけた。
だが半分ほど破れた状態で、無理矢理取り出し、食べ始めた。
ハム、レタス、トマトサンドである。
「シャキッ」レタスの弾ける音が聞こえる。
普通サンドイッチを食べる時、一口食べると、噛みながらサンドイッチを口元から離す。
そして飲み物を飲んだりして、二口目と行く。
しかし彼はサンドイッチを口元から1センチ以上離さず、一気に三口で食べ終えてしまった。
時間にして15秒 である。
ハムレタスサンド15秒である
ここで一旦カフェオレに手を出すかと思いきや、次のサンドイッチをつかみ、また口元から離さず、今度は四口で食べ終えた。
時間にして、20秒。
ふた切れ目は少し時間をかけたね。
ここでカフェオレに手を出すかと思いきや、まったく無視して、もうひとつ紙袋から取り出した。
今度はホットドッグである。
これまた口元から離さず、45秒で食べ終えた。
よほどお腹が空いていたのだろう。
いや実は、早食い大会の選手で、トレーニングを欠かさないのか?
電光石火の男なのである。
そしてホットドッグを食べ終えると、ようやくカフェオレを手に取り、一気に飲み干した。
350ccを一気、6秒である。
すべてにおいて、電光石火の男なのである。
こちらは、崎陽軒の「おべんとう秋」であるが、あまりの電光石火に見とれ、紐とかなかった。
電光石火に対抗して、ゆっくりと食べる。
730円ながら、味の起伏に富んだ、素晴らしい弁当である。
しかしあえて苦言を呈すなら、この味付ききのこ炊き込みご飯にシュウマイは合わない。
きのこ炊き込みご飯自体は、美味しいんだよ。
一口食べた途端にご飯が恋しくなるシウマイのご飯喚起力に対して、味付きご飯ではしつこすぎる。
やはり白飯が食べたいなあ。
だからシウマイよく噛んで、口から無くなってから、ご飯を食べた。
それと一つだけ、わがまま言ってもいいですか?
たった2個のシウマイでも、辛子をつけて欲しいなあ。
でもどのおかずも手抜きなく、デザートがわりの大学芋まで充足した気分で過ごすことができる。
そして何より安いのがエライ。
ということで、今日は食べる速度では勝てなかったけど、満足度と値段で勝ちとしよう。