昨日京都新町通で、蔵に納めてある鉾を見せていただいた。
今年は、動かしはしないが、鉾を立てることはするらしい。
間口が狭い、一見小さな草履屋の奥の奥に、立派な蔵がある。
暗闇の中には、一年に一度の晴れ姿を待ちながら、分解された鉾の木材や縄が眠っていた。
三井家や越後屋が軒を連ねていた新町通ゆえに、堂々たる真木や屋根、破風、車輪が整然と収められている。
これらを釘一本も使わず組み立てるのだという。
直径180センチはある大車輪を見て「これはいつ頃からつかわれているしゃりんですか?」と尋ねた。
するとご主人は、「これは新しく作った車輪です。3代目というか、3回目に新しく作ったやつです」と、おっしゃった。
「初代は、660年前ですな」と続けておっしゃる。
つまり新しいとはゆえ、200年前に作られた、新しい車輪なのである。