先日山崎美緒さんという26歳のチャーミングな女性と会食した。
彼女は自転車活動家。
大学在学中に自転車で日本一周し、
さらにケニアから南アフリカまで約5000km、女性として初めて単独でアフリカ大陸縦断を成し遂げた。
2008年5月には、中東の平和と暴力の終焉を願って自転車に乗って世界へ発信する『Follow the Women 2008』に日本人として初めて参加した人だ。
http://mantem.exblog.jp/
レイプの恐れなきよう、丸坊主にして、5ヶ月かけて走りきった。
病気を警戒し、逆に現地の人が飲んでいる水を飲んで身体を慣らしていったという、強靭な精神と胃袋を持った女性だ。
アフリカでの食べ物は、どの国に行っても、玉ねぎを炒めて牛か山羊、たまに贅沢な鶏を入れ、トマトで煮込んだシチューだそうだ。
それに、米かとうもろしの粉を練ったものをつけて食べる。
朝食は紅茶にたっぷり砂糖を入れたものを飲み、昼も夜もこのシチュー。
毎日同じもので飽きる以前に、味にコシがなくて、まいったという。
かれらには、おいしいという感覚がないのだという。
食事は糧としての意味しか持たないのではという。
熱々のシチューに、練った粉を持った手を突っ込み、真剣に食べる。
食べ終わった皿には汁気が一切残らない。
食料が無い時期には、不足するミネラルのために、泥を食べるという。
もちろん彼女も食べた(きな粉みたいと)。
そんな彼らに糖尿病が蔓延し始めているらしい。
水が不衛生なので、安いコーラをがぶ飲みしているからだ。
うまみに無頓着なアフリカに進出しようと企んでいる企業があるという。
味の素だ。
資本主義の正義が、身体と味覚を侵略する。
「身体が強いのか、小学校から今までおなかを壊したことがほとんどないし、風邪にかかったことも無いんです。マラリアにはかかりましたけどね」。
と関西弁でさらりという彼女も、アフリカで感染症にかかった。
マラウイのマラウイ湖で毎日シャワーを浴びていたら、片足が膿でパンパンにはれてしまったのだという。
病院に運ばれたのはいいが、麻酔なしで手術したのだという。
「そら、痛かったですよぉー。気絶ぎりぎりやった」。
マラウイの人はとんでもなく貧しいのに、毎日彼女のためにマンゴーやパパイヤを持ってきて、晩御飯パーティーを開いてくれたという。
マラウイの人々をはじめ、アフリカ各地の人々は、みな自分の国に誇りを持っていて、海外から来た人には、最高の食を提供したいと考えているのだそうだ。
「うまいっ。ぜいたくやわー」と、
子供のように喜んで中華料理を食べる彼女から放たれる言葉を租借しながら、
ぼくらは考えた。