原始の人間たちにとって、「リズム」はコミュニケーションの手段だった。
人が生まれたアフリカという大地で、深い森が続く闇の中で、地平の彼方まで広がる草原で、危険を伝え、存在を伝え、獲物のありかを伝えてきた。
最初は、倒木を叩いていたが、やがて小型の木を打ち鳴らすようになっていったのだろう。
そうなっていく過程で、リズムは生存に必要な情報だけでなく、悲しみや喜びを伝えていくようになる。
日本に生まれたタケオは、その本質を一瞬にして理解したのだろう。
ダウン症という筋肉的ハンディを越えて、アフリカに渡り、リズムを生む根源に触れ、自らの体に受け入れた。
マリジェンベを叩く様は、もう太鼓をたたくという意識から離れている。
指の先まで伝達した自らの感情が、命が宿ったリズムを生みだす。
聞く我々の心を揺さぶり、彼と同化していく。
伝える。伝わる。共感する。共鳴する。
コミュニケーションの根源は、人間の根幹を目覚めさせ、すべての人間を、母なる大地へ旅立たせてくれる。
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