松山の人は甘いものが好きで、大食いなのだろうか?
二軒回って、考えた。
まずは、「鍋焼きうどん」の「アサヒ」である。
ここには、「鍋焼きうどん」と「鍋焼きうどん玉子つき」、そしていなり寿司しかない。
どのテーブルも、老若男女、ぼぼ全員がいなり寿司を2個ずつテーブルに乗せて、鍋焼きうどんができるのが待っている。
目の前のオッチャンは、息子と二人ずれで、「玉子つきと、わしはノーマル、そしていなり寿司五個な」。
常連らしい。
「息子にたまには「ことり」行くか聞いたら、ここがええといったけん」
「親子伝承、遺伝やね」と、店の人に言われて嬉しそう。
さて、部外者の僕は、ビビっていなり寿司一個を頼む。一つがでかい。
酢飯の甘さより揚げの甘さが勝ったいなりである。
そして鍋焼きうどんが登場した。
まずはつゆを一口すする。
うむ。甘い。
その甘さとは、甘く作った肉じゃがの煮汁を、うどんの汁に仕立てましたといった風な、遠回しの甘さなのだが、ケッコウ糖度が高い。
おそらくイリコダシにミリンがかなり入っていると思われる。
具は、ネギと天ぷら、刻み油揚、ちくわ、かまぼこに大和煮風牛肉の甘辛煮である。
卵を溶いたら、黄身の甘みが加わって、さらに濃くなるかと思いきや、甘みが柔らかくなった。
さらに七味をかけて、甘く辛いを狙ったが、つゆの甘みが辛味を受け付けない。
これはかけない方がいいと思われる。
日本一甘い鍋焼きうどん屋には、なぜかEPOの「うふふ」の歌詞が張り出されている。
そんな気分を呼ぶ鍋焼きうどんということなのだろうか?
一方「でゅえっと」は行列ができる人気店である。
グラタンも各種スパゲティーもあるが、ほとんどの客がミートソースを食べている。
世界一ミートソース比率が高い店である。
そして盛りが凄まじい。
この写真で小なのである。
小で、推定300gはあろう。
そして通常は、高峰となる。
高峰が、次々と出て行く様は、東京なら、「ジャポネ」か「さぼうる」クラスである。
注文が入ると店主が、茹でおきの麺を、ぐわっしと手づかみにすること4回、大きなフライパンに次々と投入していく。
炒めること2分半、皿に盛り付けると、ミートソースをたっぷりける。
かくしてカウンターの上には。高々とそびえ立つ、ミートソースの山々が連なっていく。
ここは立山連峰か、チベット山脈か。
壮大な光景である。
フォークを刺して丸める。
重い。
そして、甘い。
ケチャップだけではない、砂糖由来の糖分と思われる甘さが、ミートソースに溶け込んでいる。
人間本来の糖質欲求を揺さぶる、菓子的糖度である。
途中で、タバスコを振りかけて、甘いが辛い。
つまり頬を殴られながら撫でられている感覚を味わってやろうと思ったが、なんと甘みが辛味を吸収してしまった。
ケッコウかけても、辛くない。
食べていると、小学生の男の子が親に尋ねていた。
「なんでここはスパゲッティだらけなの?」
うむ。至極的を得た質問である。
おそるべし。でゆえっとのミートソースに、アサヒの鍋焼きうどん。
松山に来たら、糖質制限とは、別れを告げよう。