プライムタイム~想定外の力~
想定外だった。
30年前、初めて小林克也さんに会った。
ラジオで聞き、ベストヒットUSAで見る、スマートな喋りそのままに、
なんともパンクな親父だった。
昨日、小林克也さんの古希を祝う会が都内ホテルで催された。
3・11の件もあり、検討されたようだが、経済を回さにゃいかんということで予定通り開催したのだという。
数々の有名DJが挨拶し、ミュージシャンが演奏し、歌い、
最後に懐かし“ナンバーワンバンド”が2曲やった。
六本木のオカマの哀愁をうたった「六本木のベンちゃん」と
克也さんの出身地、広島県人のハワイ移民をテーマにした、日本語ラップのはしりでもある「うわさのカムトゥーハワイ」。
大人の遊びが許された時代のアバンギャルドな粋だった。
82年当時、一緒に仕事させていただいていた20代の僕は、
「悪声の説得力」、「CD時代へ向かい、ジャケットの魅力減衰による音楽の消費物化」、「佐々木信也に見るMCの極意」など、40歳の克也さんから多くのことを学ばせていただいた。
最後は即興と朗読による「イマジン」。
シュールでロックだ!!
なんてかっこいいんだろう。
「常に想定以上を目指してきました」とご本人も挨拶されたように、
そこには、
そうして生きてきた男ゆえの反骨とダンディズム、
世の中への優しい思いやりに満ちていた。
「想定外」を言い訳にする輩には、到底持ちえない日本人の美風、
惻隠と
捨て身の心に、満ち満ちていた。