意外であった。
優れた味噌煮込みうどんは、ハシゴが出来るのである。
「ミッソーニ」の汁は、丸い。
穏やかで、味噌の練れたうま味が舌を包み込む。
細く、少しだけコシを見せるうどんも、この汁と馴染んで、つるつると口元に登ってくる。
その優しい感じがたまらず、一気に食べる。
とは言っても熱いので、特有の穴のない蓋を器にして、とりわけながら食べ進む。
最初はそのまま、次に一味をかけ、次には山椒をかける。
味噌の甘みを一味や山椒の刺激が引き立て、つるるんるん。
最後まで残しておいた玉子はつぶして汁と混ぜて飲む。
困ったことに、この汁は後を引いて、いつまでも飲み続けていたくなってしまう。
二口で飽きてくる有名某店とは違う誠実である。
「まことや」の汁は、辛い。
恐らく若い味噌を使っているのではないだろうか。
この店の魅力はうどんである。
よれたうどんは、コシが強く、20回ほど噛んでようやく口の中で消えていく。
この凛々しさと味噌の辛さがよく合うのだが、「ミッソーニ」のように、汁を飲み干したいとは思わない。
ただし、味噌煮込みうどんでご飯をかき込みたい人には、こちらの方がいいだろう。
今回はハシゴゆえに、ご飯を頼まなかったけど、二店とも、「ああここにご飯をぶち込んで食べたい」という気持ちがむらむらと沸き上がり、すんでのところで「すいません小ライスください」といってしまうところだった。
よく我慢したと思う。
優れた味噌煮込みうどんはハシゴが出来る
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