日記 ,

「春情蛸の足」は、大阪人が愛する、きつねうどんやお好み焼きなどを題にした小物語で、各料理と大阪人との密愛関係が、明晰かつ人情深く描かれている。

思わず食べたくなる描写も見事で、「きつねうどんを、ひたすらおいしく食べるために人生はある」。「下降思考の魔力を具えて、下品中の下品というのがあらまほしい(お好み焼き)」といったように、庶民食の立ち位置を、社会学、文化人類学の面からも、考察している点が、たまらない。