<駅弁勝負>第28番

駅弁 ,

勝つには勝ったが、微妙な勝利である。
今回は空弁勝負。
機内では勝負が出来ない可能性が高いため、売店で自分が買った前後の購入者の弁当と勝負することにしている。
すぐ後に買われた方は、石垣牛焼肉弁当。悪くはないが、朝から食べるには、ちと重い上に、おかずの種類が少ないので、活性化がのぞめない。
当方が悩みに悩んで選んだのは「のり弁」である。
悩んだのは、のり弁のまえに「こだわりの」とあるからである.
しかもご丁寧に「こだわり」に赤点がふってある。
食材にこだわるのは当然であり、ワザワザ断るのは、なにかウラがあるのではと、意地悪な僕は思うのだ。
製造主は「日本エアポートサービス」である。
意外にいい。新潟産こしいぶきのご飯は固めながらいいし、本枯れ鰹節も大橋新蔵海苔も香りがある。
海苔、おかか、ご飯、昆布佃煮、ご飯という構造も悪くない。
おかずは地の味が控え目な鮭の幽庵焼き、築地石井のキャラブキ、小田原鈴廣の揚げ蒲鉾、甘い江戸風厚焼き卵、南高梅である。
ご飯の量に対し、明らかにおかずが少ないが、海苔弁としては豪華すぎるほどで、海苔弁のおかずは少なめという法則に則られている。
勝利が微妙としたのは理由が三つある。

① 1080円という値段は、仕入れを考えると致し方ないかもしれない。しかし、「てとて」の山形屋海苔、にんべん、味の浜藤がコラボした「おいしい海苔弁当」1080円と比較すると、明らかに格落ちである。
② 箸が短い。食べにくいのである。
③ 石垣牛焼肉弁当購入者の後に、こんな光景に出会ったせいである。
早い夏休みを取る親子四人家族連れ。男の子二人推定小学校4年生と3年生。
両親40代。
長男「あっ、シウマイ弁当がある! 僕はこれ!」 「シウマイ、シウマイ」と、嬉しそうに繰り返す。
父「僕は炒飯弁当にしよう」。
シウマイ弁当を手に持った母
「これまだ温かい」。
父「えっ? 俺シウマイ弁当にしようかな」。
この親子の前ではどんな弁当を選んでも勝てない