シーサイドドライブインの謎3

食べ歩き ,

もはや天然記念物である。
世界遺産といってもいい。
恩納村「シーサイドドライブイン」のビーフカレー800円。
黄色というより薄黄色である。
スープと同じスプーンが沈まない濃度で、カレー沼である。
皿からカレー粉の香りが立ち上る。
たまらない。
いい意味でうまみが少ない。
しつこいようだが、うま味が淡いのでなく、少ないのである。
そこをカレー香と小麦粉の甘みと濃度が救う。
なんか味気ないなあではなく、ぐいっと食べさせるのである。
1967年開店というが、開店来の味なのだろう。
同じ黄色カレーでも、母親のカレーやボンカレーとは一線を画す。
強いて言えば、小学校の林間学校の最後の日に出たカレーライスか。
わびしさと豊かさがないまぜになった味わいが、心に寄りかかる。
具としては珍しいピーマンも入っていて(中々合うのだな)、ニンジンは星形薄切りである。
そして牛肉の炒めが何枚も入っている。
そこが800円という価格の理由だろう。
できれば肉は、豚コマがうれしかったけど、日本式カレーがアメリカで根付きましたという風景があって、これもまたオツである。
函館「小いけ」と沖縄「シーサイドドライブイン」のカレー。
北と南に、日本の思い出が、ひっそりと保存されている。