アンコウの目の裏は

食べ歩き ,

コリッ。くにゅ。ぷるん。シコッ。
アンコウの目の裏は、一言では表せない食感を持っている。
人間の咀嚼力を翻弄する、様々な感触があって、噛みゆくうちに、ゆるゆると、舌にコラーゲンの甘味が広がっていく。
海底の砂に潜み、頭から出た突起を水面で揺らし、エサだと思って寄ってきた魚を、丸呑みにして捕食するアンコウだから、目はほとんど機能していないのかもしれない。
しかしその奥の筋肉が、このような複雑な組成をしているところから考えるに、砂の中で泰然自若、沈思黙考しながら、目だけは動かし続けているのだろうか。