鰻の取り寄せ

食べ歩き

うなぎを食べるなら鰻屋に行く。
今まで数々の鰻の蒲焼を買ってきて、家で食べた。
買ってきた蒲焼の美味しく温める方法も、様々試した。
だが、店で食べるそれと、大きな差があって、いつも落胆するのだった。
まあ差も、別物と思って食べるなら、それもいい。
だがせっかく鰻というゼータクするなら、家で食べるのは諦めて、店で食べよう。
長らくそうしてきた。
しかしコロナがその通念を変えた。
去年の春、行きつけであり、東京で足しげく通う鰻屋の一つ、日本橋の「はし本」から、鰻の冷凍が届いたのである。
「何回も試行錯誤して、やっと湯煎4分で店舗のクオリティに近い
ところまで仕上げることができました」。
そこには、店主橋本さんの熱意が書かれていた。
早速食べて目を丸くした。
こりゃあ我が家が鰻屋になったではないか。
ふっくらとした鰻を噛めば、ふわりと崩れるのだが、よくよく噛み締めたくなる旨味がある。
しみじみと「うまいなあ」とつぶやく。
蒲焼を食べる、タレのしみたご飯を食べるを繰り返して、あとは一気呵成に食べ終えてしまった。
少々高く感じるかもしれないが、質が極めて高い鰻が自宅で再現できるのならと思う。
あとは硬めに炊いたご飯と燗酒、ワサビを用意するだけである。ああそうだ。誰かにプレゼントしたもいいなあ。
ぼくは今、この取り寄せのために。塗りの重を買おうかと真剣に悩んでいる。