ドイツに降り立って、最初に向かったのが、旧東ドイツのライプツィヒ。
さあ、はじめてのドイツ料理を食べんと向かったのが「アウアーバッハスケラー」なる店である。
なにせライプツィヒの大学に通っていたゲーテも通っていたことのあるという創業1525年。
日本でいえば戦国時代。織田信長や斉藤道三が通っていた店ということになる。いや別に珍しいことではない。ドイツにはそんな古い店が、ゴロゴロあるのである。
室内に入れば、教会の中でいただくのが如し。
荘厳な雰囲気が流れている。
WC期間中ということもあり、かの有名な店も、わたし一人と裕福そうなドイツ夫婦二組のみ。
かかった額も由緒あり(恐らく)。
給仕人の格好も由緒あり(恐らく)。
突き出しは、七面鳥にマンゴーソース。
意外にモダンと思っていたら、選んだトマトスープでやられた。
銀の盆には、空のスープカップとスープが入ったポット。そしてハープ類とトマトを入れたグラスを載せて
「こちらでよろしいでしょうか」と給仕人。
「ダンケ」と応えれば
カップを置いてポットからスープを注いで
さあどうぞ!!
コンソメスープのようだが、飲むと、トマトの酸味と甘みにあふれてあら不思議。そこにハーブ類の香りが折り重なって、陶然。
ドイツでこんなモダンな料理がいただけるとは。しかもそこには、二種の皮で折り込んだラビオリが。
皮は小麦の香り高くまたにっこり。
脇に控えた、バケットの上にトマトとチーズを載せてグラチネしたものを、合いの手に食べれば、また楽し。
さあメイン。選んだのは赤鹿だぁ。
どうだといわんばかりの堂々たる量。
よっしゃ食べてやろうじゃないのとかじりつけば、鉄分あふれるジュースがこぼれだす。火入れ完璧。全面のロゼ。
やるなあドイツ人。老舗レストラン。
深く濃いブラウンソースも、酸味のある白いソースも、香り高きアスパラガスとモリーユのリゾットも満悦の味わい。
ゲーテのファウストにも登場するという<strong>樽の部屋</strong>。
これまたすごし。ご覧の通り。
ドイツ人の歴史と文化に対する誇りは並みじゃない。
デザートのチョコレートトリュフとストロベリーアイスを食べながら、しみじみ実感するのでありました。
【独レポ】たかだか500年
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